新宿で開催されている、xR映像専門の国際映画祭『Beyond the Frame Festival 2021』にて、VR(3Dof、6Dof)、AR、MR映像をいくつか体験しました(作品のサムネイル映像は公式サイトのもの)。
●Fragments(MR)
愛する人を失った女性の心の中をMagicLeap1で体験するストーリー。線画のような映像が幻想的でしたが、しかし現実世界との連動する部分はなく、これだったらVRの方が効果的に表現できたのではないかと思いました。
●Acqua Alta - Crossing the mirror(AR)
飛び出す絵本を開き、iPadのカメラで覗き込むと、その絵本の中で物語が進行するというもの。キャラクターが模型の建物の上に登ったり室内に入ったり。絵本の開き方が多少中途半端でもちゃんと追従しています(文化庁メディア芸術祭でも優秀賞を獲得した作品とのこと)。
Acqua Alta - Pop-up Book from Adrien M & Claire B on Vimeo.
●Fortune(AR)
お金にまつわる物語が、机の上で繰り広げられるアニメーション。一度スタートさせるとあとはこちらから操作することは無いものでした。
●Samsara(VR6Dof)
過去の地球から時代が進み未来の人類、そして環境破壊による死と新たな世界への転生。人類・地球・宇宙全体の輪廻転生を描いた物語。途中のシーンごとに自分の手(自由に動く)が、そのシーンにあった人類のものに変わっているのが面白い。
●MOWB(VR3Dof)
へその緒を通じて繋がり合い続ける親子の命の連鎖をイメージしたアニメーション作品。
●Replacements(VR3Dof)
ジャカルタのある1件の家の前で固定された視点で、時代の変化を眺めるアニメーション。素朴な町並みだった近所も少しずつ変化し、遠景には高層ビルが増えていく。途中災害や戦争などで大きく変わっった後には…。といった流れ。どこが次に変わるかわからないので何度も様々な方向から繰り返し見てみたいと感じた作品でした。
諸行無常 (Replacements) Trailer from Jonathan Hagard on Vimeo.
●Home(VR3Dof)
親戚一同が里帰りしてきたある日の風景。その最高齢の、曾祖母さんの視点を実体験できる。序盤、視界がぼやけていたり、音か聞こえにくくなっている部分は、「老人はこんな感じに周りが見えているのかもしれない」という気持ちになれました。
沢山の家族が登場しながらも全てノーカット映像というのがすごい(途中、ひ孫も登場するが、彼の演技にも全く違和感がない)。
賑やかな家族との日々。しかし、皆それぞれの家に帰ってしまい、最後は自分とお手伝いさんだけ。このラストはなんとも物悲しい。
www.youtube.com(この予告編はまさにそのラスト部分)
●MARCO & POLO GO ROUND(VR3Dof)
あるカップル(夫婦?)に訪れた危機。彼を責め始める彼女。彼女の占いによると「このままだと二人の仲が転覆する」。
しどろもどろになっていく彼の言葉を聞くごとに、室内の重力がおかしな方向へ。まさに「転覆」し始めていく。
重力がおかしくなっていくシーンはVRで見るとものすごく臨場感がありました。
個人的には「MARCO & POLO GO ROUND」が一番面白かったですね。
いくつかのVR映像は、2022年1月15日まで、公式のオンライン会場で無料視聴できます(ただし『VeeR』アプリのあるHMDが必要です)。