坂出駅からほど近い場所にある、創業1789年(寛政元年)の老舗・鎌田醤油。この鎌田醤油が運営する3つのミュージアム『鎌田共済会郷土博物館』『四谷シモン人形館 淡翁荘』『小沢剛 讃岐醤油画資料館』の総称が『鎌田ミュージアム』。
地図を見ると元町商店街沿いにあるのでまず商店街に向かったのですが、不況の影響かいわゆるシャッター街になっていて物悲しい雰囲気。
垂れ幕の「昔はよかったのんなぁ〜」のセリフが自虐的。
人形館と醤油画資料館の入口は駐車場側。
洋風の館(淡翁荘)が人形館、和風の館(旧鎌田醤油本店)が醤油画資料館。受付は淡翁荘で行います。


鎌田醤油本店の建物(登録有形文化財)の一角に醤油画資料館があります。ほぼ1部屋分くらいでそれほど広いスペースではありません。
【醤油画】とは、弘法大師の時代に醤油が日本に伝来したのとほぼ時を同じくして画材として使用されるようになった由緒ある画法。しかし保存性に難があることなどから、主流になることはなく忘れ去られたもの。紆余曲折のあったこの画法を、館長の小沢剛氏が再発掘した...という架空の美術史に基づく現代アート作品です。
展示している建物が本物の文化財なので、嘘のはずなのに本物っぽく見えてしまうのが面白いところです。
なお、鎌田醤油のオンラインショップでは、この醤油画を書くための筆ペンも販売中です。
続いて淡翁荘。もともとは接待用の迎賓館として建てられたものでこちらも文化財。四谷シモン氏が製作した人形が、洋館のあちこちに鎮座しています。
普通に部屋の片隅に立っているものもあれば、旧トイレの個室を開けたところに座っている人形、襖や金庫の中に隠れている人形などもいます。全部で23体がこの館にあるそうです。



なかにはちょっと官能的な人形もあります。
1Fにいるこの『男』は、押井守監督の映画「イノセンス」で、バトーとは古い顔なじみのハッカーである「キム」のモデルになった作品。これがきっかけで「イノセンス」の公開に合わせて東京都現代美術館で開催された、押井監修の「球体関節人形展」にも展示されたそうです。
最後に「鎌田共済会郷土博物館」。こちらは少々離れた場所にあります。外観と2Fの改修工事中でしたが、1F展示室は見学できました。江戸時代に坂出塩田の開発をすすめた久米栄左衛門通賢ゆかりの資料などが多くあります。
鎌田ミュージアム3館のうち、『鎌田共済会郷土博物館』は、各地にある郷土資料館同様に、この土地の様々な資料を収集・展示している一般的な博物館ですが、残りの2館はかなり癖の強い個性的な博物館でした。B級スポット好きにはオススメです。