以前より興味を持っていたものの、機会がなく体験できていなかった【ダイアローグ・イン・ザ・ダーク】を初体験。1999年からイベントとして開催され、2009年〜2017年に外苑前で常設開催、その後新たに2019年11月に国立競技場近くの三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア内にて「内なる美、ととのう暗闇。」をオープン。さらに2020年、竹芝に【ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」】がオープンしている施設です。「対話の森」は子供から大人まで幅広い層に向けたもので、「内なる美、ととのう暗闇。」は大人向けという設定のようです。
いずれの会場でも共通するのは「視覚を完全にシャットアウトした状態で、ものごとを感じるという体験」ができることです。
今回体験したのは「内なる美、ととのう暗闇。」受付を済ませたら更衣室で裸足になり、荷物を預けます。会場内では僅かでも光を発するものは一切持ち込めません(なので、この先の写真は当然ながらありません)。また落とし物をすると自分では見つけることができないので、ポケットの中身も出しておいたほうが良いでしょう。
準備ができたら控えの薄暗い小部屋へ。ここからは視覚障害のある方がアテンダントを担当します。今回担当された方は、生まれつき視神経がつながっていないため光というものを一度も感じたことが無いという方でした。
1人1本、自分の身長に合わせた白杖を選んだら体験開始。小部屋の照明が完全に落とされると目の前が一切の闇につつまれます。
アテンダントに従いゆっくりと小部屋から通路へ、最初は恐る恐るといった感じにどうしてもなります。通路は小石が敷き詰められていて裸足だと気持ちが良い感じです。この通路にはメインの会場へを通じる躙り口のような小さな扉があるので、参加者みんなで扉を探します。見つけたら中へ。
内部はかなり広い空間で…と言っても、真っ暗闇なのでどのくらいの広さなのか全くわかりません。本当に1つの部屋なのかそれとも実はアテンダントに誘導されて通路を進んでいるのかすらもわかりません。
足元も先程とは違った感触の場所がいくつか、途中には岩や木の幹のようなものもありました。そういった場所や物、音や空気の流れなどを感じながらしばらく歩いていきます(あまり細かい体験内容を書いてしまうとネタバレになるのでこれ以上は省略します)。
なお、体験中は「座ります」「何か触ります」「ここに樹があります」などできるだけ発言することが推奨されています。もしくはモノを軽く叩くなど。そうしないと自分の位置が他の方にわからず、ぶつかる危険性があります。
現在の「内なる美、ととのう暗闇。」は夏バージョンとして、途中ワンドリンクで一服します。ビールや麦茶、温泉水などから選べます。私は温泉水を選びましたが、飲んでみると味覚が普段より敏感になっているような感じがありました。
また、このときのアテンダントの動きが暗闇の中とは思えないほどテキパキしていて、さすがです(コップに注ぐ量も手の感触で測っているとのこと)。
最後は板の間の上で自由に寝転んでしばらくリラックス。何も見えない中で周りの音を感じたり、アテンダントと雑談したり。のんびりとした時間を過ごせました。
(もちろんその後は、スタート地点に無事に戻るという、最後の試練があるわけですが、スタート直後に比べると楽に歩けるようになっていました)。
普段の生活の中で「完全な暗闇」というものはまず体験できないもの(たとえお化け屋敷であっても、仄かな光は必ずあるし、外灯などがない田舎でも星明かりがある)ですので、これはぜひ一度は誰もが体験した方が良いと思いました。
竹芝の「対話の森」はまたこことは違った体験ができそうなので、一度行ってみたと思います。