エンタメ業界に詳しい黒川文雄氏が、定期的に様々なエンタメ業界についてセミナーをおこなっている「黒川塾」にてVRに関するセミナーがあり、聴講しました。
会場は、あのフリーメイソングランドロッジの隣、フリーメイソンの持ちビル内のテナントオフィス。といってもフリーメイソンと今回のセミナーは無関係ですw(グランドロッジについては以前訪問したときの日記をどうぞ)。
登壇者は、かつてFacebook社でOculusの普及に貢献して現在はVtuberをはじめ幅広く手がけているエクシヴィの近藤義仁氏(GOROman氏)、CAセガジョイポリスの小川明俊氏、バンダイナムコアミューズメントの小山順一朗氏(コヤ所長)、田宮幸春氏(タミヤ室長)。
2018年の振り返りと2019年の展望について盛りだくさん語られました。
あまりに盛り沢山なので興味深かった内容を箇条書きで記載します(時系列は順不同。一部聞き違い、勘違いも含まれますw)
・ジョイポリスVR SHIBUYA(小川氏)
世界中を駆け巡って日本に様々なVRを導入。日本に持ち込んで初めて判明するトラブルなども多く、例えば「ターミネーターVR」は本来3ルームで運営するはずが現在も2ルームまでしか稼働できていない。今後どうするかは今日、社内で決まったばかり。
・TOWER TAG(小川氏)
CAセガがかなり力を入れているVR。ゲームバランスも非常に良いとコヤ所長、タミヤ室長絶賛、小川氏以上に熱心に聴講者にゲーム内容説明。
現在Ver2018.4.0で、プレイヤーにCPUが参加できるようになり、対戦人数合わせが非常に楽になった。4月頃をめどに、日本・アジア国内の店舗間でランキングなど行えるようにし、よりゲーム性を高める予定。
・風営法の話(小川氏、コヤ所長)
TOWER TAGは現状風営法対象外だが、ランキングなどを追加すると風営法対象機器になる可能性がある。ただ、ジョイポリスVR渋谷は、そうなっても大丈夫なようにTOWER TAGの接地面積を全体の10%以下に抑え、店舗は風営法対象外になうようにしている。
VRZONE SHINJUKUでは「ボトムズ」のみ風営法対象機器。これは明確に「対戦」で、勝敗が表示されることが理由となった。他のアクティビティでは実はいずれもゲーム内で「順位」を表示していない。そのため例えば「マリオVR」はドライブシミュレーターの扱いで対象外。「釣りVR」はあくまでも自分の釣果を表示しているだけで、どちらが勝っているかは表示していない。「攻殻機動隊VR」は両チームとも「テロリスト排除に成功」という扱い。さらにスコアをゲーム画面内にも、施設内にも掲示していない(WEBサイトにアクセスして初めてスコアがわかるが、これはあくまでも別のコンテンツという扱い)。
様々な方法を使って、できるだけ風営法対象機器にならないように尽力している(もちろん、事前に風営法対象を審査する警察の担当部署と相談の上)。一部の機器だけなら、先の10%以内などの手法ほのか、施設にメリーゴーラウンドとライドアトラクションを設置して「遊園地」として風営法対象外営業できるようにすることもある。
・米国の最新VRの動向(GOROman氏)
米国展示会レポート。間もなくリリースのOculus Questが一番の見所で、スタンドアロン・ワイヤレスでマルチプレイできるフリーロームアトラクションがとても面白かったとのこと。理論上は東京ドームクラスの広さでも対応できる(開発者曰く)。
1〜2年前は、実はOculusは個人向け販売を主軸に考え、施設型VRには力を入れていなかった。しかし今回のイベントでは施設型VR向きの展示が多かった。
フリーロームVRを体験中のプレイヤーをiPadを通して見ることで、観客向けのカメラ映像を見ることができるようになっていたのが画期的。(コヤ所長「VRZONEのアクティビティでもこういった観客向けのシステムはあったほうが良いと考えている。なので中継システムを...ゴニョゴニョ」)。
・VRZONEのフィールドVR(タミヤ室長)
「攻殻機動隊VR」はコストをかなりかけたが、どうしても機器の装着や少人数で部屋を専有してしまうのがネックで客回転が厳しかった。ただ、その反省を「ドラクエVR」に活かすことができたので良かった。客回転以外にも、お客さんの安全管理のノウハウも蓄積されたので、更に今後の開発に活用していきたい。
・インバウンドについて(タミヤ室長、小川氏)
VRZONE SHINJUKUも、秋葉原セガ内のVRも、平日はほぼ海外客ばかり。土日は日本人で棲み分けができている。VRZONEの「攻殻機動隊VR」は現在平日だけにしているが、海外客には国によって「ドラクエ」より「攻殻機動隊」の方が知名度が高いから。
秋葉原などでは、ホテルのコンシェルジュなどに「VRをプレイできるところはないか」と聞く海外客が多いようで、コンシェルジュに聞いて施設にやってきたという客も結構多い。
・渋谷のVR連携について(小川氏)
ジョイポリスVRが旗振りとなって、現在アドアーズのVRPARK TOKYO、東急レクリエーションのTyffoniumと、相互に協力展開しようという動きがある。将来的には「VR CITY SHIBUYA」を構築できればと考えている。
・Oculus Questの施設VRでの活用(コヤ所長)
ワイヤレスで、スタンドアロン、コストも安くフリーロームVRができるので、画期的である。ただ唯一の難点として、画像のクオリティが低い。施設VRで高クオリティのVRに慣れているとどうしても見劣りする。
なので、それを逆手に取って、「8ビットゲームの世界に没入できるVR」を作ってみてはどうかと考えている。
・東京ジョイポリス等に導入している、「ゼロレイテンシーVR」(小川市)
現在世界で24店舗に導入されている。ロケーションVRのなかではかなりの成功コンテンツ。海外ではLaserTag系(Q-Zarのような対人ガンシューティング)のアミューズメント施設に一緒に導入される形が多い。
→セミナー後にお聞きした話。
当初1月に導入予定だった新コンテンツは、ローカライズの問題(日本では血しぶきがNGなど)があり、それらの修正に時間がかかり導入が遅れてしまった。やっと調整が完了したので、3月リリース予定
・VRZONE SHINJUKU終了後...(コヤ所長、タミヤ室長)
まだ言えないそうです(今回はバンナム広報さんもコヤ所長の言動を監視中w)。でも、新作VRアクティビティは現在も続々開発中とのこと。
・VRMフォーマット共通化(GOROman氏)
エクシヴィなど複数社で、現在アバターデータのフォーマット共通化を進めている。将来はVRチャット等だけではなく、施設型VRでも自分のアバターデータを利用できるようにして行きたい。
とりあえず以上。聞き漏らしているものもあるかともいます。非常に盛りだくさんの内容で、楽しいセミナーでした。
・追記
GOROman氏によるexiii社山浦氏の「魔改造WinMR + NORTH STAR」紹介や、VRとは直接は関係ないが、移動ユニット「Segway Drift」紹介などもありました。